愉快な仲間たち
もうずいぶん昔のことである。
ボクの友人から聞いた話だ。
友人たち3人が新宿の歌舞伎町で飲んで、あの歓楽街を酔っ払いながら歩いていた時の
話だそうだ。
仮にBとしとこう。(ボクは面識無い)
彼は酔っ払いながら、停まっている黒塗りの高級車のタイヤホイール辺りに蹴りを入れて
いたという。
Bは「蹴りって良いよね」と上機嫌に言いながら、
ニコニコとガンッ、ガンッと・・
それはもう、思いっきり・・・ガンッ、ガンッ・・・
それはもう日頃のストレスの発散、気持ち良さそうにBはそのセリフを繰り返しながら、蹴り続けたという。
そして蹴り何発目であろうか?
「誰だ、こらああぁぁぁ!」
怒鳴り声と共に車から怖い人が出てきた。
「おい、お前ら並べー」
友人たち3人は横一列に並ばされ、
友人が胸ぐらを掴まれ、
「おめえか?くぉらっ」
と尋ねられたという。
Bは「ボクです。すみませんでした」
すかさず言った。
怖い人はBの胸ぐらを掴み、「おいっ、電話番号教えろ!!」
と言った。
Bは正直に「03-oooo-ooooです」
怖い人はメモを取っていた。
そして3人から少し3歩ほど距離を置いたかと思うと、
素早くBの胸ぐらを掴み、Bの顔に口を近づけて言った。
「おい、もう一回今の番号、繰り返してみろ!!」
Bは言った。
「はっ・・・はいっっ・・03-oooo-ooooですぅぅ」
怖い人は、メモを確認しながらニヤリと笑って言った。
「よーし、・・明日電話すっからよ・・・」
そして黒塗りの車でどっかへ行ってしまった・・・・
「おい、電話番号知られて大丈夫か?」
友人たちはBを心配した。
しかしBは2人に言った。
「あぁ、あの電話番号、俺んちのじゃ無いよ。」
「は・・・・?」
「適当に考えた番号?』
「いや、全くの他人の電話番号。」
Bはさらに続けた。
「オレ、普段こういうことがあろうかと、電話帳から適当な電話番号を拾って覚えておくんだ。だから大丈夫。」
友人は驚いて聞いた。
「え・・・?だって・・・こんなこと普通想定しないだろ?」
Bは言った。
「実際、今、その想定外が起きたじゃん。」
いや、君が「蹴りって良いよね」しなきゃ良かったのに・・・
そんな下らん話を思い出したわ。
電話番号の主、どんな対応して切り抜けたのかな?
迷惑なやつだ・・・
Bは大学でもおもしろい、不思議なやつだったそうだ。