不思議な話3
現在、勤務している病棟に異動したばかりの頃の不思議な話です。
病棟の突き当たりから2番目の部屋にNさんが入院していた。
彼女は椅子をほん投げて、「ご飯持ってこーい」と泣きながら要求し、他の患者を叩くことがあった。
真夜中でもやる時があったのだ。
そのため、しばらくベッドに拘束されていたのだ。
ある日、若い男性患者でA君が外泊することになった。
ボクは外泊時の注意事項を、迎えに来た彼のお母さんに説明し、2人を見送った。
その後、Nさんのところで一緒に話をしていた時のことである。
病室から廊下の方に視線を移すと、一瞬だが若い男性が通り過ぎたのである。
廊下の突き当たりの方へ走っていったのである。
来ている服は先ほど外泊に出かけたA君に似た青いシャツを着ていたのだ。
・・・あれっ・・・?
今のA君?
すぐに病室の入り口から突き当たりの方を除くが、誰もいない・・・
Nさんにさっきの青い服の人物を見たか確認した。
「うん・・・通ったよ。A君じゃないの・・・?」
Nさんも見たというのだ。
ボクは、「A君は外泊に出かけたばかりだ」とNさんに話すと、
Nさんは「・・・・・」
無言だった。
ボクは「そろそろステーション戻って記録しなきゃ」
と、病室を出ようとした。
するとNさんは「あ〜やだ、やだ、怖いからいて〜いてー」
と泣きそうになったので、暫く一緒にいてあげたのでした。
そんな不思議な話でした。